「伝える」と「伝わる」
私は鉄道が好きなのですが、以前、旧型客車の撮影のために越後湯沢駅まで行った時の話。
私がホームで止まっている列車の写真を撮っていると、近くにいたおばちゃんが話しかけてきました。「昔はこんなの(古い客車)ばっかりだったんだけどね〜」というおばちゃんと「へぇ〜、そうなんですね」と返す私。少し話していると、近くにいた「同業者(写真を撮りに来ていた鉄道ファン)」が話に入ってきて一言、「これはEF58に牽引されて、明日新潟を走るんですよ」と。
ここで私は思いました。「このおばちゃんがEF58を知っていると思うのか?」と。
私はもちろん、EF58がなんなのかは知っていますが、おばちゃんにとってはそんなことはどうでもいいことでしょう。もちろん興味があるわけもなく、おばちゃんは無言で行ってしまいました。
「同業者」は、何で失敗してしまったのか?
それは、「相手の理解度や知識を無視して自分の言いたいことを言ってしまった」ということです。
まあ、おばちゃんが行ってしまったのは「失敗」でもなんでもないのかも知れませんが、私は結構人に話しかけられることが多く、会話がブツ切れになるのはちょっと寂しいかな?と思います。その「同業者」もそのままどっかに行ってしまったので、なんだか私が取り残されたようなカンジになってしまいました。
相手の理解度や知識に合わせた内容を!
これはあくまでも趣味の話なのですが、これと同じことをやっているWebやカタログ、プレゼンをよく見かけます。つまり「自分が伝えたいことを一方的に説明するだけで、見る側のことが見えなくなっている」ということです。これでは伝えているつもりでも、何も伝わっていません。
プレゼンでありがちなのは、聞いている人の顔を見ないで、ただ資料を読んでいるだけのプレゼンをする方が案外多いということです。一生懸命作った資料なのかも知れませんが、せっかく聞いている方の反応が目の前で分かる機会なのに、もったいないなと思います。
「伝える」と「伝わる」… この違いを意識しているかどうかで、資料の表現やプレゼンが大きく変わります。